かつてはお笑い芸人としてお茶の間を賑わせていたビートたけしこと北野武監督ですが、そんな北野武監督の作品は、以下3つのジャンルに分けられるのではないでしょうか?
- バイオレンス系
「アウトレイジ」
「アウトレイジ ビヨンド」
「アウトレイジ 最終章」
「座頭市」
「ソナチネ」
「その男、凶暴につき」
「BROTHER」
「HANA-BI」 - エンタメ作品
「3-4X10月」
「あの夏、いちばん静かな海。」
「キッズ・リターン」
「菊次郎の夏」
「みんな~やってるか」
「Dolls」 - 芸術作品
「TAKESHIS’」
「監督・ばんざい!」
「アキレスと亀」
北野武監督作品と言えば、「アウトレイジ」シリーズをはじめとする、ヤクザ映画や過激な描写を描いた作品が多いイメージがありますが、実はほのぼのとした作品もあったりと、バラエティーに富んでいます。
さてさて、この記事では、そんな北野武監督の映画作品について、ベスト10作品をランキング形式で、それ以外の作品についてもレビューをご案内していきます!
この記事をご覧頂くことで、北野武監督がヤクザ映画のみならず、幅広いジャンルを制作していることがわかりますよ!
北野武監督映画作品は動画配信で無料視聴できる?
残念ながら、北野武監督の作品は動画配信サービスでの取り扱いがないようです。(出演作品であれば取り扱いがあるようですが)
今後動画配信サービスでの配信もあるかもしれませんが、現状ではレンタル店や宅配レンタルにてdvdをレンタルする以外の方法はなさそうです。
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北野武監督映画作品ランキングTOP10
ここからは、北野武監督作品について、「見どころ」や「感想」をレビューしていきます!バイオレンスな作風のものが多いですが、意外な発見があるかも?!
第10位 アウトレイジ(2010年)
製作年 | 2010年 |
あらすじ |
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5段階評価 | 「アウトレイジ」の評価 過激度 (5.0) 配役 (5.0) 演出 (5.0) 総合評価 (5.0) |
見どころ
30代女性
え、あの俳優さんがこんな役を?!という衝撃を受けました・・・
緊張感のあるストーリーと、血が飛ぶ生々しい映像、そして時々「クスクス」と笑ってしまうシーンもあり、面白かったです。面白かったといいますか、すごかったです。
なんといっても、こんなにリアリティーを追求している映画は日本ではあまりないなと思いますし、海外で評価されるのも分かります。
演出が日本人離れしているのを感じます。有名な俳優さん、女優さんがたくさん出演されており、そこも見どころの一つだと思います。
さわやかな俳優さんが人を簡単に◯してしまうシーンなど、逆に新鮮な感じがして、面白かったです。とりあえず、暴力的で血がよく飛ぶシーンが多いので、苦手な人は要注意ですが、見ごたえたっぷりの映画です。
感想
過激で生々しいのに惹かれてしまいます。
30代女性
はじめは怖いなと思い、何度も目をつむってしまうシーンもありましたが、何度か観ているうちに、北野作品の新鮮でリアリティーのある演出に魅かれていきました。
出演されている有名な俳優さん方の汚い言葉遣いもかっこよかったですし、暴力、銃殺、出血の映像も、生生しすぎて、こわいというよりは、すごいなと思いながら観ていました。
そして、やはり北野さんの迫力が違います。人間のこわさの中にある小さな光のようなものをうまく演出されていて、北野さんの迫力とは反対に優しさが垣間見えるシーンではその優しさが大きく感じられ、上手に演じてらっしゃるなと思いました。
やくざの世界は全く知りませんが、こんな感じなのでしょうか、笑。
第9位 DOLLS(2002年)
製作年 | 2002年 |
あらすじ |
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5段階評価 | 「Dolls」の評価 物語 (3.5) 配役 (3.5) 映像 (3.5) 総合評価 (3.5) |
見どころ
30代女性
北野武監督なりの恋人や恋愛描写に注目!
映像がとても美しく、北野武監督はこんなにも美しい作品を作ることができるんだな、と感じる作品でした。
実際に見るとかなり色彩豊かで、その美しい極彩色の中を菅野美穂さんと西島秀俊さんが歩いていく、淡々としているようできちんと世界観をそのまま切り取っている美しさがあります。
純愛にも見えるし、ただの思い込みにも見えますが、なかなか理解しにくい分映像で楽しむこともできます。
ただゆっくりとしていますが、一応普遍的なテーマとしてラブストーリーが描かれています。
そこになんだか北野武監督なりの恋人や恋愛観が描かれているような気がします。ちょっと普通には理解し難いのですが、そんな雰囲気を感じ取るには一度視聴していただきたい映画です。
映像美に是非酔いしれて欲しいです。
感想
うまくぼやかすのがこの作品の魅力かも?!
30代女性
Dollsを簡単には理解できず、何度か視聴しましたがやはりどことなく分からない部分も多々あります。
はっきりと明言しないのがこの映画の良いところだと思います。
事故によって片目を無くしたアイドルの顔を見ないために、自身で視力を無くしたファン、元恋人が結婚することを知り、自殺未遂をして自身を崩壊させた女性と元恋人。ヤクザの親分と何年も待つ女性。
なんだか不器用な人間の集合体でしかないのですが、どことなく美しささえ感じるこの恋愛群像。悲しさも感じるし、どことなく理解もできる気がします。
普遍的な恋愛映画ではないからこそ、面白さを感じてしまう、そう思える映画でした。
ほとんどが西島さんと菅野さんの歩いているシーンしかないのですが、それがまた美しく感じます。素敵な映画でした。
第8位 座頭市(2003年)
製作年 | 2003年 |
あらすじ |
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5段階評価 | 「座頭市」の評価 物語 (4.0) 配役 (4.0) 演出 (4.0) 総合評価 (4.0) |
見どころ
40代男性
弱き人々の為に、悪を斬る「盲目の男」の物語
私が好きな作品は座頭市です、座頭市という映画はリメイク板で本家は勝新太郎さんの座頭市です、北野武さんは勝新太郎さんを非常にリスペクトしていますので、座頭市という映画をリメイクして是非作品を作りたいという思いで制作しました。
そんな“北野バージョン”ですが、見所は北野武さん演じる座頭市の刀裁きと随所に笑いのあるストーリーです。
座頭市というのは家を持たず転々と旅をしながらその日暮らしで生活を送っているのですが、目が見えない為に仕事は主にマッサージで小銭を稼いでいます。
しかし転々と旅をしながら暮らしていると様々な悪党と出くわしてしまいます。そんな悪党を次々と倒して行きながら弱き人達を守り愛された一人の盲目の男の物語です。
感想
本家を観てから「北野版」を観る事をおススメします!
40代男性
北野武監督の作品の中で私が好きな作品は、上記でも書きましたが「座頭市」です。なぜ座頭市が好きなのかというと本家の勝新太郎さんが演じる座頭市を観ていたからです。
北野武監督の座頭市は多少現代化された作品になっているなと感じましたが座頭市のストーリーや迫力はかなり見応えがあり素直に面白かったです。
しかし本家座頭市は正直北野武監督の座頭市よりも迫力が物凄くあります。そして座頭市役の勝新太郎さんの刀裁きは圧巻としか言いようが無いぐらいに迫力があります。
北野武監督が勝新太郎さんが演じる座頭市の映像を何百回と観て演技の勉強をしたという事が納得出来ます。
これから座頭市を観てみようと考えている方は、是非とも最初に勝新太郎さんが演じた元祖座頭市を観てから北野武監督の座頭市を観てみる事をオススメします。
そうするとより一層北野武監督作品の座頭市がどれだけ上手に制作されているかが分かります。
第7位 BROTHER(2001年)
製作年 | 2001年 |
あらすじ |
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5段階評価 | 「BROTHER」の評価 物語 (3.5) 配役 (3.5) 演出 (3.5) 総合評価 (3.5) |
見どころ
30代男性
日米合作のヤクザ映画!
「BROTHER」押しです。「北野ブルー」と称される北野武監督の「色彩」へのこだわりが米国のフッドへの描写でも表現されています。
どこまでも続きそうな広く長い道路、椰子の木、ゲトーの街並み。そこに流れる北野組常連、久石譲の音楽がシーン描写にマッチして堪らなくカッコイイ哀愁を呼びます。
弟ケンとの異母兄弟、舎弟加藤とのヤクザ兄弟、黒人デニーとの国境や人種を超えた兄弟。
そして日本ヤクザと日本人マフィアの兄弟タッグがイタリアンマフィアとの全面戦争へと繋がって行く、、、
絡み合う複数の疑似的兄弟関係が残酷にも破滅への道を導いてしまう。真木蔵人、寺島進、加藤雅也、大杉漣らバイプレイヤー達の迫力の演技も圧巻!静かなバイオレンス感を日米合作で製作した渾身の作品です。
感想
自分にとって「原点」となった作品
30代男性
高校3年の秋、学校をさぼって見た映画が北野武監督作品の「BROTHER」だった。初めて見た北野武監督作品でした。
とても印象深かったのは寺島進さん演じる加藤の最後に鳥肌が止まらなかった。山本(北野武)を追いかけて米国に渡り、島をデカくして、兄貴を漢にしたいという加藤の一点の曇りも無い生き方が当時18歳の自分には衝撃的だった。
こちらはハッピーエンドでもバッドエンドでもない、なんなんだろこの感覚は。っと映画を見終わった後に感じたのを覚えています。
たぶん哀愁って感覚が当時の自分にはまだ理解出来なかったんだと思います。この作品をきっかけに北野武作品が好きになり、過去やその後の作品も全て見ていますので自分にとっては原点となった作品でとても印象に残っています!
第6位 HANA-BI(1998年)
製作年 | 1998年 |
あらすじ |
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5段階評価 | 「HANA-BI」の評価 物語 (3.5) 配役 (3.5) 演出 (3.5) 総合評価 (3.5) |
見どころ
30代男性
過激さと美の描写の対比が凄い・・・
『HANA-BI』は最後のシーンが印象的だった。北野作品のいくつかのラストはすぐに思い浮かぶ。だが、この作品は群を抜いている。もちろん最後だけ見ても、その良さはわからないだろう。
そこに至るプロセスがまるでわからないと心に響かない。いや、他にも見所は確かにある。映像が美しい。特に、山、海、花、砂浜、雪など意識的に多くの自然が映されている。
絵も綺麗だ。色鮮やかな絵が、随所に登場する。病院や喫茶店、バー、銀行、ホテル等の壁にかけられている絵はすべて同じタッチ。つまり同じ人が描いた絵だ。
北野監督自身が映画に出てくる絵をすべて描いたのだから、監督の作品に対する意気込みは生半可なものではない。
が、全体を振り返ると、そういった美しい景色や絵、また暴力的なシーンに目が行きがちだが、それら全てはあの最後のシーンのためにあるのではないか、と思ってしまう程ラストは素晴らしかった。何度見てもいい作品だと思う。
感想
弱肉強食のなかにある美しさに注目!
30代男性
暴力的な場面は少なくない。しかし、全体としての印象は美しい、だった、色鮮やかな景色や絵画は、確かに美しい。
だが、一番美しかったのは、病気の妻に寄り添う夫だ。いや、その夫の義理人情を貫く生き様だ。他にも、病気で話せなくなっても、夫と過ごしている時本当に心の底から幸せそうに笑う妻の笑顔は心にぐっとくるものがあった。
監督の撮ろうとしていた映画、そこで表現しようとしていたものが、美しいものなのだ。映画のあらゆるシーンがひときわラストシーンのすばらしさを引き立てている様だった。
こんな作品に出会えて幸せだった、そう思う。綺麗事だけではない世の中。騙し合い、弱肉強食の世は厳しいものだ。が、そんな中にも美しいものは存在する、とこの映画は伝えている。
第5位 その男、凶暴につき(1989年)
製作年 | 1989年 |
あらすじ |
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5段階評価 | 「その男、凶暴につき」の評価 物語 (4.0) 配役 (4.0) 演出 (4.0) 総合評価 (4.0) |
見どころ
40代男性
悪役っぽくない人が演じる悪役がヤバい!
何と言っても北野武監督の関心するくらい分かりやすい暴力のシーンです。ヤクザ=力で支配するという分かりやすい構図そのままで、何も考えずに見ていられるところです。
また、他の映画やドラマだったら悪役は似合わないからやらないだろうなという俳優さんが、極悪ヤクザやチンピラの役を演じているのも見どころだと思います。
この穏やかな俳優さんにこんな迫力があったのかと、見ていて驚いてしまうことも多かったです。動の暴力というよりも静の暴力の方が、見ていて怖いと思いました。
普段穏やかな人の方がキレたら何をするか分からないからかえって怖い、という感覚なのだと思います。よくこれほど強面の俳優さんを集めたなと思うキャステイングにも感服です。
感想
暴力描写に感服
40代男性
とにかく北野武監督が考える暴力が怖すぎるということです。いきなりキレる演技だったり、これでもかっていうほどの暴力シーンは、さすが北野監督だなと思えるほど迫力がありました。
悪役を演じている俳優さんたちもベテラン俳優や若手の俳優さんなども多く出演していて、撮影現場は怖かっただろうなと見ていて思いました。
ベテラン勢の迫力ある演技に負けじと対抗する若手というのも、この映画の面白いところだと思いました。シリーズとして続編も出されていますが、一番面白いのが最初のこの作品だと思いました。
ストーリーもよくありそうな勢力争いと個々の思惑が絡んだもので、誰が裏切り者なのか全くわからないというのも見ていてワクワクしました。また、続編を出してもらいたいです。
第4位 菊次郎の夏(1999年)
製作年 | 1999年 |
あらすじ |
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5段階評価 | 「菊次郎の夏」の評価 物語 (4.0) 配役 (4.0) 演出 (4.0) 総合評価 (4.0) |
見どころ
30代男性
北野武作品のなかでは大衆向け(笑)
『菊次郎の夏』夏というのがテーマの映画になっていて、北野武が演じる菊次郎とひょんな出来事で出会う正男の道中を描くストーリーです。
いままでの北野映画といえば、監督である北野武のバイオレンス的な演出であったり、すこしこだわった映像の見せ方など独特な表現の仕方のある映画が多かったです。そのため、癖がつよく見る人を選ぶ映画でした。
ただ、この菊次郎の夏は割と見やすいハートフルなテイストの映画になっていて今までの北野映画では考えられないようなストーリーになっているのが魅力です。
話は分かりやすく映画も淡々とストーリーが進むので、あっというまに映画が終わってしまいます。
今までのテイストとはガラッと違った映画を作り北野武監督が何を伝えたかったのか、こちらは割と見やすいハートフルなテイストの映画になっています。
感想
どこか懐かしくて優しい気持ちになる作品
30代男性
映画のストーリーは非常にシンプルですが、今まで見たことのない北野武の俳優姿を見れたので良かったです。
夏になるとこの映画を思い出すほど、夏を意識した映画になっていて、子供のころであれば冒険したかった、どこかに遠出したかった、そんな思いを北野武が演じる菊次郎がかなえてくれたような、そんな優しい思い出をくれる映画でした。
母親に正男という少年が会いに行くというストーリーなのですが、こういった内容の話は他のアニメやドラマ、映画などの作品でよくあると思いますがこの映画は母親にあったあと帰宅するまでの道のりも映画にしています。
菊次郎という昭和の香りがするハチャメチャなおじさんと、母親に会いたいという純粋な心をもつ少年に心を打たれ、なんだか懐かしい気持ちにさせる映画でした。
第3位 あの夏、いちばん静かな海。(1991年)
製作年 | 1991年 |
あらすじ |
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5段階評価 | 「あの夏、いちばん静かな海」の評価 物語 (4.0) 配役 (4.0) 演出 (4.0) 総合評価 (4.0) |
見どころ
40代女性
言葉が無くても、音声が無くても伝わってきます
見終わると何故か今までにない充実感に包まれ胸一杯になる感覚に陥ります。サーフィン好きにもたまらない映画です。
北野監督のサーファー目線からの描写は、流石の一言です。音楽もジブリシリーズを手掛けている久石譲氏の穏やかなサントラも心落ち着きます。間違いない作品のひとつです。何度見ても素敵です。
言葉が無いからこそ、伝わる言葉がこの映画にはあります。聾唖の青年とその恋人との淡い恋を描いた、北野 武監督の第3作です。
聾唖の青年・茂は、サーフボードを拾ったことをきっかけにサーフィンに目覚めていき直向きに練習する茂。そんな彼を、恋人であり、同じ聾唖である貴子は優しく見つめていた。無音でも、無声でも本当に心に響く映画です。
感想
日常生活の「リアル」がそこにあります。
40代女性
言葉もほとんど無く、演技もほとんど無い、日常のリアルがそこにあって、それがとても至福なんです。そして、久石譲のテーマ曲も素晴らしい。
でもやはりただひたすらに北野武の才能とセンスにしびれます。北野監督の素晴らしい才能に感服しました。
ラストシーンは黒澤明監督は無かったほうが良かったと言われておりましたが、私は、最高に美しいラストシーンだと思います。
皆さん、是非見て頂きたいです。見て、感動して心が癒されて下さい。涙です。
第2位 ソナチネ(1993年)
製作年 | 1993年 |
あらすじ |
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5段階評価 | 「ソナチネ」の評価 物語 (4.0) 配役 (4.0) 演出 (4.0) 総合評価 (4.0) |
見どころ
40代男性
暴力描写とブラックユーモアが最高!
武作品好きには1番評価が高いと言われる作品。興業的には成功しなかったが、海外での評価が高い。
突然の暴力描写、キタノブルーと呼ばれる青を基調とした映像、余計な台詞の排除、暴力描写なのに、クスっと笑ってしまうブラックユーモアと武作品初期の特徴が全て入っていて楽しめる。
また、独特のカメラワークと沖縄の美しい映像、久石譲の耳に残る印象的なテーマ曲も良い。
役者は、北野武監督映画常連の大杉漣、寺島進もメインの登場人物で配役されている。
北野武監督の得意ジャンルであるヤクザ映画を観たいという方にはお勧めであり、映像美、カメラワークなどの芸術的な要素もある事から、初期の武映画の特徴を堪能したい方には楽しめる作品。
感想
40代男性
東京で居場所を失ったヤクザが、親分から左遷のような形で沖縄に行かされる。組織の中で厄介ものを追い払うやり方は、会社もヤクザの世界も一緒なのかなと感じてしまう。
舞台の9割位は、沖縄になるが、キタノブルーと海のコントラストが綺麗で映像美として楽しめる。
また、お馴染みの台詞がない状況での突然の暴力は、ビクっとなってしまうが、ここでこうなるの!という驚きで楽しませてくれる。
中盤の主人公達が海の近くに匿われて、やる事がなく遊んでいるシーンは、大人がふざけてる様子がコミカルに描かれているが、撮り方、演出の仕方には、武の直感的な芸術的感性が入っていて楽しめる。
暴力描写が多いのに、タイミングや状況がおかしくて、クスっと笑った。終盤は、主人公が死に向かっていて、死に場所を探してるような描写もあり、死生観についても考えさせられる。
芸術、暴力、笑いの3つの要素が絡まって初期の武作品の良さが詰まった作品だった。
第1位 キッズ・リターン(1996年)
製作年 | 1996年 |
あらすじ |
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5段階評価 | 「キッズ・リターン」の評価 物語 (4.5) 配役 (4.5) 演出 (4.5) 総合評価 (4.5) |
見どころ
30代男性
忘れたくない「あの頃」を思い出させる作品
『キッズ・リターン』は何度も見た。楽しいとか面白い、切ないという訳ではなく、胸の辺りがザワザワするのだ。表現するのが難しい気持ちになる。
高校生から大人へ成長する時期の二人の男を描く。私にも高校時代があった。力が有り余っているが、それをどこにぶつけたらいいかわからないし、空回りもする。
経験が少ないからよく失敗する。何かに打ち込みたいのに結局何もできずに無為に過ごした自分を思い出す。二人は極道とボクサーという別々の道を歩むことになる。
それぞれの道で成功や挫折を味わい、もがき苦しむ。大人の世界は甘くない。悪い人間も多い。そんな人間に毒され二人も純粋なままではいられない。嘘をつき、ずるくなる。自分の記憶と重ね合わせてしまう。
学校から社会へ出た時には苦しんだ。本音と建て前を使い分けられず、不器用な私は仕事や職場に慣れるまでに相当嫌な思いをした。辞めようと何度も考えた。思い出すのだ。
この映画を見ると当時の自分を。懐かしいが苦い記憶の方が多いあの頃を。本作は、もう二度と戻れない感情の揺れ動きが激しい微妙な時期を脳裏に呼び戻す。何度も見てしまうのは、忘れたくない大切な何かがあったのかもしれない。
感想
人生でもがき苦しんだ「あの頃」が実は輝いていたのかも?!と感じさせられた作品です。
30代男性
多感で力漲る、青春時代の記憶が甦る。『キッズ・リターン』を見ると、高校生や社会人になりたての頃の自分を思い出す。子供から大人になるあの時期自分は何を考え何をしていたのだろう。
具体的なことは思い出せないが、きっと目の前の事にがむしゃらだったのだ。主人公は若かりし頃の自分だ。将来に悩み、自分が何者かを考え、何者かになろうとし、苦悩する。あの時期特有の悩みがある。
大人になって振り返ると、何者にでもなれ、何に挑戦しても良かったあの時期が、一番苦しんだが一番希望に満ちていたのかもしれない。忘れたくない時代を思い出し、当時の記憶が次から次へとあふれ出す。子供に返ったような気持ちになれる。
だからこそこの映画は何度見ても飽きないし、見るたび若返ったような錯覚を起こすのだ。
北野武監督作品には、TOP10以外にもバラエティーに富んだ作品が!
アウトレイジ ビヨンド(2012年)
製作年 | 2012年 |
あらすじ |
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5段階評価 | 「アウトレイジ ビヨンド」の評価 過激度 (4.5) 配役 (5.0) 演出 (4.5) 総合評価 (4.5) |
見どころ
30代男性
登場人物が真っ黒過ぎ!
『アウトレイジ ビヨンド』の見所は残虐なシーンでも暴力的な場面でもない、と私は思う。
主人公の仁義を貫く姿が心を打つ。映画で描かれているヤクザの世界の出来事は、程度の差はあれ、それ以外の世界に生きる人々にとっても普通に起こっている事だ。
全く別世界の出来事とは到底思えない。自分の出世の為には人を出し抜き、裏切る。自分の為なら平気で嘘をつく。そんな事は社会では珍しくない。登場人物はほぼ全てワルだ。
が、主人公は残虐な事はするが、仁義に反しない。まっすぐで、義理人情を弁えている。不条理な世の中を果たしてどう生きたらよいのか、考えさせられる内容だった。殺されて死んでいく人間が多い映画だが、私は、これから、いかにして生きるべきかを考えた。考えるべきだと思ったからだ。
感想
映画が教えてくれた現実
30代男性
前作の映画『アウトレイジ』で組を潰された主人公の組長が、刑務所から出所し、以前彼の組が従属していた上位団体である組への復讐を行う。
彼は、かつて敵対する事となった組長と組み、更に大阪の有力団体の後ろ盾を借り、相手を追い詰めていく。
暴力性が強く、残虐なシーンに目を覆いたくもなった。その過程で上位団体の組の先代組長の死の真相が暴かれる。
大阪の暴力団の思惑、上位団体の組織内での勢力争い、主人公の復讐への狂気。加えて暴力団の勢力を抑えたい警察や警察内で暴力団と繋がりをもつ刑事の思惑が絡み合う。
「世の中綺麗事だけではない」とこの映画が教えてくれる。騙し合いの中、迎える結末は壮絶だった。暴力や殺人のシーンがあるものの、私はこの映画を何度も見た。
映画の中では極端に描かれてはいるが、それは私達の身近にも起こる事だと思う。
自分の立身出世の為、汚い事も含めあらゆる手段を尽くす。自分を守る為に嘘をつく。目的の為なら手段を選ばない。が、主人公はブレない。
真に仁義の世界に生きる男だ。彼は多くの人間を残虐な方法で◯した。にも拘らず、汚い周囲の人間の中にあって、むしろ美しく、かっこよく見えた。
アウトレイジ 最終章(2017年)
製作年 | 2017年 |
あらすじ |
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5段階評価 | 映画「アウトレイジ 最終章」の評価 過激度 (3.0) 配役 (5.0) 演出 (4.0) 総合評価 (3.5) |
見どころ
30代男性
大友の義理堅さに注目!
『アウトレイジ最終章』は『アウトレイジ』、『アウトレイジビヨンド』の続編だか、最終章のみ見ても十分楽しめる。
チャン会長の庇護のもと韓国済州島にわたっていた大友。その仲間の一人が殺される。殺したのは大阪花菱会の組員だった。
そこから構成員を殺された韓国の政財界を裏で牛耳っている東京のチャン会長及び花菱会との間で不穏な空気が漂い始める。
主人公の大友はそんな中済州島から日本へ帰国。花菱会の内部対立やチャン会長との争いに利用されることとなる。
そんな状況でも大友は、義理に拘り、復讐を果たそうとする。この映画は息つく暇もない程、迫力があり、また争いが絶えず、暴力シーンや殺人シーンがある。人間の卑怯で醜く、愚かな部分が表現されている。
が、周りが愚かであればあるほど、大友という人間の純粋さが際立つ。仲間をやられた恨みを晴らす、世話になった人には迷惑をかけない。
そこは絶対に曲げない。一番残酷で残忍で、多くの人を殺してきた大友だが不思議と悪者に見えない。組織同士の対立、組織内部での権力闘争の中で一人大友は自分の生き様を貫く。
感想
映画が伝えたかった人間の本質に注目!
30代男性
『アウトレイジ』からこの映画に魅了されていた私は、最終章を見終わって、すごく面白いなと思った。
ヤクザの組同士でのケンカや組織内部での覇権争いによって、多くの人が死ぬ映画だが、人間の本質が描かれていてるようで、自分と切り離して見ることはできない。
自分に損にならないよう、嘘をついて物事をうまく進めたり、出世のため人を出し抜いたり、と映画の中に限らずどの世界でもよくあることだ。
どこで何をしようとも、食うか食われるか。世の中で生き抜いていくとはそういう事なのだ、と改めて人間の社会で生き残っていくことは容易ではないと思った。けれど3作ともに大友は変わることがない。
義理にあくまで拘る姿は最終章まで一貫していた。周りに、どんな汚く、卑怯な人間がいようと、彼はぶれない。しっかりとした信念を持ち、貫いた。
どんな中で生きようと決して曲げてはいけないものがある。それが、私が映画から受け取ったメッセージだ。
アキレスと亀(2008年)
製作年 | 2008年 |
あらすじ |
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5段階評価 | 映画「アキレスと亀の評価 ストーリー (3.5) 配役 (3.5) 演出 (3.5) 総合評価 (3.5) |
見どころ
20代男性
北野監督の世界観が、観た人の受け止め方で変わるかも?!
物心ついたころから絵を一筋で頑張ってきて、両親が自殺してしまっても、妻に捨てられようとも絵を諦めきれない主人公の愚直さにあります。
また、このように周りに死が漂おうとも報われなくてもそれがアーティスティックに、時々笑えるように作られている北野監督独特の世界観もかなと思いました。
視聴者の解釈でこの作品をどう評するかが違うところも面白いです。コメディと評する者もいれば、哲学的要素がちりばめられている作品と評する者もいます。
一度視聴してみて自分なりの解釈もち、感想を議論し合うこともできるところもこの作品の面白いところであると言えます。
登場人物の言葉が北野監督のアートに対する価値観を代弁しているようで、北野監督の価値観の片鱗を知ることができるのも見どころです。
感想
理想と現実のギャップと残酷さが生々しい
20代男性
幼いころは才能があると言われていた主人公でも、結局は凡人であったが生涯様々なことを捨ててまで絵に向き合ってきました。
ここまで報われずないままでも愚直に努力してきたのは、幼いころに褒められた思い出とアキレスは亀には勝てないという逸話の信念であります。私はこの幼い頃の体験や信念というものは毒にも薬にもなる呪いであると感じました。
この強い呪いを糧に成功してきた方ももちろんいますが、本作の主人公のようにこの呪いがあるが故に自分の生き方を捨てることができず他のものを捨ててしまう。
他のものを捨ててしまったからもう後戻りはできなくなり、より信念に縛られていくという呪いのように感じました。
今作での主人公は、必ずしも夢はいいものではなく、夢で人を幸せにできない残酷な世界が広がっているように感じました。
3-4X10月(1990年)
製作年 | 1990年 |
あらすじ |
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5段階評価 | 「3-4X10月」の評価 物語 (3.5) 配役 (3.5) 演出 (3.5) 総合評価 (3.5) |
見どころ
40代女性
過激だけど暗い気持ちにはならない、隠れた名作
たけし軍団がメインキャストをつとめている映画です。たけしお得意のハードボイルドですが、めずらしくコメディ要素が入っている作品。
声をあげて笑うような笑いではありませんが、暴力団の騒ぎに巻き込まれていくダンカンと柳家ユーレイ演じる若者2人の戸惑いと破天荒ぶりが楽しませてくれます。
リアルな暴力シーンが多く、暗い印象が強い北野たけし監督の作品は苦手という人も多いかと思います。
もちろん拳銃撃ちまくり、血もとびちりまくりですが、この作品は他の作品とひと味違う空気感があり、どこまでがセリフなのかアドリブなのかと思ってしまう状況がいくつもあって、暗ーい気持ちにならずに終われる隠れた名作だと思います。
感想
たけし軍団がいい仕事してる!
40代女性
ハードボイルドを貫くキャラのたけしに翻弄されて、拳銃撃ちまくって暴れるダンカンと柳ユーレイのキャラがとても楽しい。二人が徹底的に無表情なのが逆にまたおかしい!
映画の中でストレートに感情を爆発させているのはタカさんですが、結果なかなかかっこいいキャラ。たけしの弟分である渡嘉敷さんのキャラもなかなかのインパクト。
みんな決してふざけているわけではない、大真面目で命をかけて体張ってる人物像で、へらへらしているわけでもない。それなのになんか面白いのです。
「えっ?」という結末のラストは、それまでの奇妙な空気の意味が理解できる仕掛けです。なんともいえない暗い後味を残す通常の北野たけし映画とは違った、不思議な雰囲気を持った映画です。
龍三と七人の子分たち(2015年)
製作年 | 2015年 |
あらすじ |
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5段階評価 | 「龍三と七人の子分たち」の評価 物語 (3.5) 配役 (3.5) 演出 (3.5) 総合評価 (3.5) |
見どころ
30代男性
元ヤクザの老人たちによるバトル
『龍三と七人の子分たち』は、元ヤクザの龍三と龍三を「兄貴」と慕う七人の仲間が組を組織する。彼らは皆70代後半くらいだ。
病院に入院していた者、グループホームに入所していた者、家族に見放され生活保護で暮らしている者、寸借詐欺を繰り返す者等、それぞれ色々な事情を抱えている。
武器も個性的だ。五寸釘を投げたり、ステッキに刀を仕込んでいたり、カミソリを使ったり。あと鉄砲を使う者もいるが、手が震えて的に当たらない。
そんな爺さん達が、昔のシマ内を荒らす元暴走族で構成された組織と対決する。最初は小競り合いから、後に全面戦争に発展する。
任侠ものだが、全体的にコミカルに描かれていて面白く、楽しい。龍三達の奮闘ぶりは痛快そのものだ。
感想
年齢に関係なく挑戦することを抱かせてくれた、この作品に感謝!
30代男性
北野武監督の作品は暴力的シーンが多く、本作も少し構えて見ていたが、途中からその必要がないとわかった。コメディーのように面白い。
監督が意図して、そうしているのだろうが、笑える場面が結構ある。設定からして面白い。ヤクザを引退し、老後を送っていた80歳前後の老人が新たに組を立ち上げる、なんて現実にあるのだろうか。
が気持ちは若い時のままの高齢者は現実に大勢いるし、80歳になっても何かに挑戦する人は珍しくない。人間ずっと若くありたいのだ。
彼らは年をとっても気持ちは若い。私もそうありたいものだ。年を取っても若い時の気持ちは忘れたくないし、守りに入らず、冒険し続けたい。
そんな気持ちを抱かせてくれたこの映画には感謝したい。いくつになっても人生これからだ。
さいごに
北野武氏は、監督作品以外にも多くの映画に出演していて、多数の受賞歴もあります。加えて、海外でも評価されています。
一般的には「お笑いタレント」としての認知度が高いですが、この記事でご案内した作品をご覧頂くことで、北野武監督に対するイメージが変わるかもしれませんね!
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